以下のような動画を出して「新型コロナワクチンを打った場所に磁石がくっつく」と主張する人がいます。
動画の字幕を見ると、「人体にマイクロチップを注射してる」というデマの続きのデマのようです。
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ワクチン打った後だそうですよ〜マイコーチップ? pic.twitter.com/mFtOmKj34o
— ねこ🗣🀉🀌🀏🀒🀕🀘🀛🀞🀡 (@neko_cream_pan) April 30, 2021
疑問満載
まず不思議に思ったのですが、
「ワクチン(に混入されてるマイクロチップ)に磁石がくっつく」ということを証明したいなら、注射を打ったあとの人体の皮膚に磁石をつけるよりも、ワクチンが入っているバイアルまたは注射器に磁石をつけて試したほうが確実でしょう。なぜそうしないのでしょうか?(答え:注射器やバイアルでは磁石との摩擦が少ないのでくっつかないのがばれるから)
気付かないふりをしてあげます
- 「のせてるだけ」という突っ込みを待っているような雑な撮影がすごい
- 筋肉注射は全身に行き渡るまで約20分(静脈注射は約40秒)。皮膚の奥のほうに注射した、ただでさえ極小なマイクロチップがどんどん薄く拡散してるのに、磁石がつくなんて磁石の磁力が超すごい
- 注射針を通るマイクロチップの柔軟性がすごい。グニョ~ンてか?(本当はナノチップのつもりのデマではないかと)
- その注射液を証拠として確保し、科学的・論理的に証明するのはたやすいはずだが、それをしないのがすごい
- マイクロチップを注射したいなら既存の予防接種に混入させればいいのに、わざわざ新しい感染症を作り上げてわざわざ新しいワクチンを作って、疑われやすい環境にして計画を実行するのがすごい
- ロシアも中国も北朝鮮もアメリカもヨーロッパもアジアの国々も、あらゆる国々が協力しあって計画を進めてるなんて、人類史上初の快挙が超すごい
- バイアルから注射液を注射器に吸い取るとき、目に見えないほど極小なマイクロチップなのに、きちんと注射器に取り分ける医療従事者の技術がすごい
- なにげにバイアルから注射器に吸いあげるだけで極小チップを取り分けてるとするなら、ものすごい数のチップが入っているわけだが、チップ同士の信号が干渉せず個人を特定できる技術がすごい(トラッキング説)
- そんな極小マイクロチップで人体を操れる科学力はすごい(人間操作説)
…等々、突っ込みどころは尽きませんが、キリがないので、ここは気付かないふりをしてあげましょう。
もともと人間の肌には意外と物がくっつく
- 多くの人(特に若い人やふくよかな体形の人)の皮膚にはしっとりした潤いがあります(皮脂、うっすら出た汗、もち肌)。そういう状態の皮膚は摩擦力・吸着力が大きくなるので、ものがくっつきやすい状態になります。
- 粘性のある汗が出る人・出る場合があります
- 物と皮膚との間に空気を入れない(真空状態)ようにすると物が吸着することがあります
- 条件が整えば「磁性」を持たない物も皮膚にくっつきます
こういった性質を利用して「人間磁石」という芸を見せる人もいます。
こちら↓のほうが注目に値しますね!(この場合は別の理由があるのかもしれませんが??)。
まだ新型コロナワクチンを接種してない私自身が試したところ、動画にあるような吸着状態を簡単に再現できました。お話にならないデマですね。
新型コロナワクチンを注射した場所(皮膚)に磁力が発生していることを証明したいのであれば、「物をのせる」よりも、方位磁石を近付けたり離したりしてみたほうが良いと思うのですが、いかがでしょうか?
参考記事
ファクトチェック:新型コロナワクチンが磁性反応を示すことはなく、追跡デバイスも含んでいません(USA Today)
Fact check: COVID-19 vaccines don’t cause magnetic reactions or contain tracking devices
新型コロナワクチンに磁性のあるマイクロチップは含まれていません(AFP)
Covid-19 vaccines do not contain magnetic microchips
新型コロナウイルスの予防接種を打たれた方の腕にはマグネットが貼りつくが逆の腕にはつかないからマイクロチップを埋められたのだと主張する反ワクチン運動の動画に、磁性金属は原料になく、そもそも皮膚越しに磁石を引き寄せるような分量は注射に仕込めないと専門家が指摘。両面テープトリック疑惑も
https://twitter.com/oekakimaestro/status/1393313953128747009
ファクトチェック:新型コロナワクチンにRFIDマイクロチップが混ぜられて注射されることはありません。ビル・ゲイツ、メリンダ・ゲイツ、ジャック・マーの編集されたビデオはデマ
ツイッターから「ワクチン 磁石」で検索してみましたが「ワクチン打ったけど磁石がつかない!」と嘆いてる人多数(笑)。
検索キーワード:マグネット
疑問1:注射で打った成分は打った場所に固まって残っているんでしょうか?
疑問2:仮にチップがあるとして、量産できることを考えるとSiを主成分にした半導体でしょう。Siって磁性体でしたっけ?(内部回路はギターのエフェクタらしいですが笑)
コメントありがとうございます。
コメントいただいた件を参考に記事に反映させていただきました。
筋肉注射は全身に行き渡るまで約20分(静脈注射は40秒!)なので注射後は当然どんどん薄く拡散しますよね。
半導体は磁性を持ったものもあるようです。
お返事ありがとうございます。
20分で全身に行き渡るんですね。勉強になります。
半導体によっては、ということですが、磁性のある半導体をトラッキング用チップに使う必然性があるのでしょうかね。
注射器に取り分けることを考えたらたくさん入れとけばってなりそうですが、たくさんあったら検出の時に信号が干渉して大変そうです。
さらに言えば、トラッキングをして誰が何を喜ぶのか、というのも基本的な疑問です。
確かにそうですね(笑)それも使わせていただきます。
チップの話はトラッキング目的以外にもいくつかバリエーションがあるようなのでデマッターは色々言い訳しそうですけれど。