デマの内容
以下のような動画を出して
厚労省のZOOM会議の動画が流出した!
その動画によると、1億人がワクチンを接種した場合、1620人死亡することを厚労省は知っていた!
実際にはその10倍くらいは死亡すると予想していた!
と主張する人がいますが、デマです。
えー。 厚生労働省のzoom内容の一部を共有します 拡散してくれ
【rumble動画】 厚労省ZOOM会議での報告。「仮に1億人接種したとして、1620人タヒ亡する」と予想していた。 お前ら、わかっとったんかい 厚労省ZOOM会議流出動画
https://twitter.com/shootingstar_ya/status/1518792967464521728
厚労省委員会Zoom会議流出動画。厚労省担当者「なかには因果関係があるものもある。この数字は報告が上がって来たケースなので、実際にはこの10倍ぐらい存在していることを視野に入れている」
以下は上記のツイートで引用されている動画の音声です。
こちらで計算しても、もし仮に1億人が接種すると単純計算で1,620人が死亡することになります。
先ほど花井委員が言われたように接種してしばらくたってから亡くなられた例というのは、まだこれから遅れて報告がされてくるということがあり得ますし、ここでは医療機関から因果関係が一応疑われて報告されたものが多いと思いますので、医療機関から報告されなかった死亡例というのも恐らくたくさんあって、それらのうちには実際に因果関係があるものも恐らく含まれているだろうということを考えると、実際はこの頻度よりも高い頻度でワクチンの接種による死亡が起きている可能性も考えられるというように私は思います。もしかすると10倍ぐらい高い可能性も視野に入れておかなければいけないのではないかと思います。一般的にこのような副作用報告、副反応報告というのは実際に生じた事例の一部しか報告されないというのが常ですので、実際に旭川医大のように医療機関は報告しないと判断したけれども、遺族からの依頼によって報告がされたという例も報道されていますので、そういう例は恐らく全国の至るところにあるのではないかと思います。
結論
デマです。
動画は2021年6月28日に行われた会議で、問題の発言をしたのは厚労省の職員ではなく、東京理科大の佐藤嗣道(さとうつぐみち)准教授です。
その発言はあくまでも佐藤氏の個人的な見解であり、有害事象について理解不足であると言えます(「ワクチン接種後の死亡」と「ワクチンが原因の死亡」を混同しています)。実際のところ、佐藤氏のその発言は、直後に、厚労省の山口氏(ワクチン対策専門官)からたしなめられています(後述)。
佐藤嗣道氏は以前からワクチンについて否定的な考え(慎重な考え?)を持っていることで知られているようです。
詳細
前述のツイートで引用されている動画は、以下のように画面がぼけています。
おそらく、画面に映っている名前を確認しにくくするために、そして誰がしゃべっているのか判別しにくくするために、わざと画面をぼかしたのでしょう。
私がより鮮明な画面の動画を探してきました。下図はその一場面です。
動画の画面では厚生労働省は左上に位置していますが、発言しているのは右上の佐藤嗣道氏(東京理科大准教授)です。
この会議は2021年6月28日に行われた「厚生労働省 第4回 医薬品等行政評価・監視委員会」です。
会議の様子はライブで公開されていたので、「流出動画」という表現は不適切ですね。いま(2022年4月27日現在)でもYouTubeで観ることができます。
前述のリンク先(厚生労働省のページ)には、会議での全発言の記録もあります。発言を読むと分かりますが、有害事象を理解できていない佐藤氏が問題の発言をした直後、厚労省の山口敏弘氏(ワクチン対策専門官)からたしなめられています。
○佐藤委員:
約5万人に1人の死亡例が報告されているということです。厚労省の資料では277例について頻度を求めていますけれども、100万人接種当たりですと16.2件ですね。こちらで計算しても、もし仮に1億人が接種すると単純計算で1,620人が死亡することになります。(中略)実際はこの頻度よりも高い頻度でワクチンの接種による死亡が起きている可能性も考えられるというように私は思います。もしかすると10倍ぐらい高い可能性も視野に入れておかなければいけないのではないかと思います。(中略)○山口予防接種室ワクチン対策専門官:
佐藤先生、ありがとうございます。
先生御指摘のとおり、潜在的にさらなる死亡例があるといったような可能性がある一方で、副反応疑い報告制度自体が、まず医療機関の方等が副反応を少しでも疑った場合に広く御報告いただいているといったようなシステムでございます。このため、報告医の先生も実際には因果関係が疑われないといったような場合も含め報告が上がってきているといった状況でございます。
こうした背景を踏まえまして、先生からいただいた御質問の内容に関しましては、現在、接種後の死亡と報告されている事例の多くがワクチンの接種との因果関係があることを前提ということで御質問いただいているかなというように認識したしておりますけれども、現時点においては報告されている死亡事例についてはワクチンとの因果関係から否定できないと専門家に評価されたものはなく、御質問の前提として若干ずれているところもあるのかもしれないというように認識しています。
また、一方で、先生御指摘のとおり、潜在的にそういった死亡事例というのが広がっている可能性等も当然審議会の委員も認識しておりまして、そういった総合的な状況を踏まえまして、副反応合同部会におきまして死亡例の報告状況を含め最新の状況に基づいて御審議をいただいております。直近の合同部会におきましても、現時点においてワクチンの接種体制に直ちに影響を与えるほどの重大な懸念は認められず、引き続き情報収集するとともに、新型コロナワクチンの接種を継続していくことということでお諮りしお認めいただいたというように承知しております。
佐藤氏は「ワクチン接種後の死亡」と「ワクチンが原因の死亡」を混同しています。
新型コロナワクチンを接種した集団と接種してない集団の比較はすでに行われており(あるいは現在進行形で行われており)、接種した集団のほうが死亡率がわずかに低いことが分かっています。つまり、ワクチンが原因で死者が増えている事実が無いことを示しています。接種した集団のほうが死亡率が低い理由は、ワクチンを接種する人達の健康意識が高いためと言われています。
有害事象について詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。