以下の画像を出して「ファイザーとモデルナのワクチンは治験が終わってないから危険!」と主張する人がいますが、デマです。
治験(治療承認のための臨床試験)つまり必要とされる安全性の試験(第Ⅲ相試験)はクリアしており、製造販売後の長期的な観察(臨床試験)が続いているだけです。これは他のワクチンを含む新薬でも行われることです。
※リンク先の記事は更新されるのでレイアウトなどが違って見える可能性があります。
誤解の元(デマのネタ)は、おそらく自動翻訳したと思われる上記の画像の「治験」という文字です。日本では臨床試験のうち第Ⅲ相試験までの「治験(治療承認のための臨床試験)」と第Ⅳ相(製造販売後試験)を分けて表記しますが、英語では第Ⅲ相試験も第Ⅳ相試験も Clinical Trials(臨床試験)と表記するため、それを自動翻訳して「治験」と誤訳したデマッターが、デマを広めたのだと思われます。(ほとんどのデマッターは、おそらく、臨床試験と治験の違いも知らないと思われます)
安全性の試験は終わっている
ワクチンの臨床試験では、治験(必要とされる安全性の試験)が終わった後、長期的な安全性の観察を行うのは当然のことであり、それは新型コロナワクチンであってもそれ以外のワクチンなどの新薬であっても同じです。
デマッターが出した画像にある「治験完了予定日」とは、その長期的な安全性の観察が終わる予定日を示しています。
日本では、第Ⅲ相試験(Phase 3)で安全性の試験が終わった後の長期的な観察期間については、「治験」とは呼ばず、通常は「製造販売後臨床試験」(第Ⅳ相試験、Phase 4)と呼びます。(英語ではいずれも Clinical Trials です)
従って「治験完了予定日」ではなく「(製造販売後)臨床試験完了予定日」と訳したほうが分かりやすいかもしれませんが、ときどき混用されるようです。
ファクトチェック記事
Fact check: It is standard practice for vaccine safety monitoring to continue after approval
「ファクトチェック: ワクチン承認後も安全性の観察を継続するのは通常のことです」
https://www.reuters.com/article/uk-factcheck-vaccine-monitoring-idUSKBN2AC2G3
After clearing final Phase III clinical trials, the Pfizer-BioNTech vaccine was granted approval for emergency use by U.S. regulators in December 2020 (here).
最終的な第 III 相臨床試験をクリアした後、Pfizer-BioNTech ワクチンは、2020年12月に米国の規制当局から緊急使用の承認を得ました (ここ、ここ)。
Pfizer reported that it would continue safety monitoring of participants in its Phase III trial. (here).
ファイザーは、第 III 相試験の参加者の安全性のモニタリングを継続すると通知しました。(ここ)。
This means that “all trial participants will continue to be monitored to assess long-term protection and safety for an additional two years after their second dose” (here).
これは、「すべての治験参加者は、2 回目の投与後さらに 2 年間、長期的に保護され、安全性を評価するための観察が続く」ことを意味します (ここ)。
Similarly, Moderna said that it would continue to follow participants from its Phase III trial for the next two years (here).
同様に、Moderna は、今後 2 年間、第 III 相試験の参加者を追跡し続けると述べました (ここ)。
その他の記事
その他の記事でも示されているように、必要とされる安全性の試験は終わっており、「長期の予防効果と安全性」の観察が続いてるということです。
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2020/2020_11_19.html
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2020/2020_12_11.html
https://forbesjapan.com/articles/detail/39722/2/1/1
ファイザーとモデルナのワクチンの治験の解説図
https://twitter.com/cocoa99592783/status/1433354708266078209 のツイートよりお借りしました。
Dr. Saki の解説動画
「第Ⅲ相試験の追跡調査中。他のワクチンでも行われること」
臨床試験は終わってない?
ファイザーワクチンの治験完了が
2023年だと読んで、不安になられた方へ#こびナビ インスタグラムより#こびナビインスタhttps://t.co/ycLtpBsJmQ pic.twitter.com/1jnH1q5igG
— 🧜♀️Dr. サキ🐛 (@SakiMDCtropMed) May 28, 2021
ファイザー、米国で「緊急使用許可」から「正式な承認」へ(2021/08/23)
月曜日、ファイザーのワクチンは米国で「緊急使用許可」から「正式な承認」へ。 大規模治験の上に各国の何億人もの接種からのReal World Dataで既に安全性が再三確認されていますが、こういう正式な承認はまた安心材料になるでしょう。
https://twitter.com/nytimes/status/1428830473715847176
https://twitter.com/NicholasRennick/status/1428925075487559685
米、ファイザー製を正式承認 接種義務化に追い風(2021/8/24)
米食品医薬品局(FDA)は23日、米製薬大手ファイザーと独ビオンテックの新型コロナウイルスワクチンを正式承認した。これまでは緊急使用許可にとどまっており、ワクチンに抵抗のある人が接種を拒む理由の一つになっていた。正式承認は企業などによる接種義務化の動きを後押しする。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23BWB0T20C21A8000000/
米国FDA、緊急承認状態だったモデルナ新型コロナワクチンを正式承認(2022/1/31)
Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Takes Key Action by Approving Second COVID-19 Vaccine
日本国内で追加の治験も終わっている
新型コロナワクチンの安全性に関する治験は開発元の国で終了しており、開発元の国民の間ですでに接種が行われています。
そのワクチンを輸入した他国ではそのまま自国民に接種することが多いのですが、日本ではさらに国内でも治験をするという安全策を採っており、その国内の治験も終了しています。
https://www.sakigake.jp/news/article/20210130CO0035/
ファイザー社製ワクチンもモデルナ社製ワクチンも正式承認済
FDAが新型コロナワクチンを「特例承認」したことを理由に「治験が終わってないじゃないか!」という人がいますが、特例承認と治験は別々の話です。
そして、ファイザー社製ワクチンも、モデルナ社製ワクチンも、2022年2月には既に正式承認されています。
参考記事
「治験は終わっている」という解説がある一方で、「まだ第3相治験は継続中であるが安全性の試験は終わっている」(「こびナビ」や河野大臣)という説明がされる場合もあります。その点については、伊賀治氏が解説しています。
「治験が終わっていない」は誤り(伊賀治氏)
https://note.com/osamu_iga/n/ne0b9961a84b1?magazine_key=mb5506dd546a0
特例承認って何ですか?|ざつ💉💉
https://note.com/zatu1977z2/n/ne7a2f9a08a03
ツイート
治験、日本と同じ三段階目までは終わってるよ?(-。-)y-~
つまり市販してOK(-。-)y-~
アメリカには四段階目まであるが、それはただ単に「その後の経過観察」だよ( ^^) _旦~~
その四段階目も英語では「clinical trial(治験)」というから、みんなここで勘違いしてる(^_^;)
— paladin (@paladin1st) July 26, 2021
国(厚生労働省)や専門家が治験は済んでいると説明→疑う、信じない どこの誰かが言った治験は終わっていないという説明→信じる 何故なのか?
https://twitter.com/pb_nas/status/1425687475096211458
特例承認も正式な承認(ヤフコメから来た対デマ工作員様)
特例承認も正式な承認です。前例もあります。
https://twitter.com/ogodei1229/status/1417485542984462346
治験は継続中でもワクチンが承認される訳とは? – 新型コロナワクチンの安全性評価について専門家が解説(こびナビ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae7adca308a434795e1e54ecf1428a87f0bb595b
ワクチンデマについて(河野太郎大臣)
mRNAワクチンは、基礎研究、動物実験、治験が省略されることなく実施され、リスクを上回る臨床的に意味のある有効性が確認されています。
その上で、いつまで効果が持続するかという長期の有効性を確認するための治験が継続して行われています。
新型コロナワクチンの臨床試験(治験)が終わっていないというのは本当ですか。(厚労省)
新型コロナワクチンは、臨床試験(第Ⅲ相試験)で、有効性と安全性に関して厳格な評価が行われた後に承認されています。その上で、効果の持続性等を確認するために、臨床試験の一部が継続されています。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0082.html
新型ウイルスのワクチン、どのように認可に至ったのか解説(BBC)
欧米で行われている緊急承認とは
通常、ワクチンの臨床試験は年単位の経過観察を行って安全性や効果について詳細に検討するように計画されます。新型コロナウイルスに対するワクチンの臨床試験も同様に、約2-3年間の計画で試験が予定されています。しかし、試験の終了を待っていては現在の世界的な流行に対して後手を踏んでしまいます。そこで、ワクチンについてのもっとも重要な情報である「感染予防効果」および「接種後1週間以内の副反応」についてのデータが発表された時点で、通常の薬剤承認のプロセスとは異なる特例的な承認が行われています。これを緊急使用承認(Emergency Use Authorization, EUA)と呼びます。緊急使用承認を得たワクチンは臨床試験の終了を待たずに製造と各国への供給が開始され、世界規模のワクチン接種へとつながっています。
“正しい手順で臨床試験が実施されていない” という陰謀論
https://twitter.com/hoaxcovid19/status/1391537361398374400
研究計画全体が終わっていないことをもって「治験が終わっていない」なら
研究計画全体が終わっていないことをもって「治験が終わっていない」と強弁することもできますが、そうするとほぼすべての薬が「治験が終わっていないまま仕様が認められた」ことになりますね。
モデルナワクチンの治験も終了
モデルナワクチンの治験も終了しています。結果はこちら。この治験は、製薬企業がしたのではなく、米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)主導で行われた。副作用は2年間はフォローすると言っていますね。
https://twitter.com/Katsumata_Nori/status/1420186984161583105
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