ファイザー社やモデルナ社の mRNA ワクチンを指して「遺伝子組み換えワクチンだ」「遺伝子組み換え人間になる」「mRNA が半永久的に体内に残る」と主張する人がいます。
まず、mRNA ワクチンは「遺伝子組み換えワクチン」ではありません。mRNA は人工的に合成され、人体に接種されると体内でたんぱく質に翻訳されますが、これらの過程で遺伝子組換えは起こりません。
ちなみにですが、遺伝子組換えの技術そのものは、新型コロナ以前からワクチンに使われています。たとえば現在使われているB型肝炎ワクチンなどがそれです。B型肝炎ワクチンは 30 年以上も使われてきましたが「遺伝子組み換え人間」になった人はいません。
人の遺伝情報である DNA は mRNA を作りますが、逆に RNA から DNA が作られることは基本的にはありません。またRNA は細胞の中にある核に入ったり、遺伝情報に組み込まれたりすることもありません。そのため、ウイルスの mRNA が人の遺伝情報に悪影響を及ぼすことはないと考えられます。
また、体内に入った mRNA は壊れやすく、速やかに分解され、それによって作られたタンパク質も 10 日以内になくなってしまうと考えられています。このため、長期的な副反応が問題となることは考えにくいとされています。
「ワクチン接種で「遺伝子組み換え人間」にはなりません」
https://www.asahi.com/articles/ASP2T42WZP2TUBQU001.html
「新型コロナワクチンは危ないの? ―ワクチン危険説に対するQ&A」
https://medicalnote.jp/nj_articles/210326-004-KO
「遺伝子のワクチンって聞くと、なんだか不安になりますが、大丈夫ですか?打ったあと、自分の遺伝子に組み込まれて何か副作用があったりはしないのですか?」
まったく大丈夫です。
ヒトのDNAは細胞の中の、さらに核膜というもので守られた細胞核の中にしまわれています。mRNAは原則的にこの細胞核の中に入っていきませんので、そもそもヒトのDNAに触れることすらないのです。また、mRNAは元々非常に不安定な物質でヒトの体内ではすぐに壊されて分解されてしまいます。ですので、何か長期的な問題を起こす前にすぐ体内から消えてなくなってしまいます。また、何らかの理由でごく少量のmRNAがもし細胞核の中に入れたとしても、そこからヒトのDNAに組み込まれて遺伝情報に作用するためには、ヒトの体内にはそもそも存在しない特殊な酵素が複数必要ですので(もちろんそんなものはワクチンの中には入っていません)、その危険もありません。と、このように二重三重に安全が担保されていますので、「ウイルスの遺伝情報を打ち込んで、自分の遺伝子が・・・」といったような心配は全くない訳です。