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バイラム・ブライドルの発言「スパイクタンパク質は危険な毒素」は証拠なし

ウイルス免疫学者でオンタリオ州ゲルフ大学のバイラム・ブライドル准教授(バイロン・ブライドル、Byram W. Bridle、Byram Bridle、カナダ人)が新型コロナワクチンについて「大きな間違い」を認め、「スパイクタンパク質は危険な “毒素”」だと語った…という話をデマッターがSNSで流していますが、それを証明する証拠はありません。

この記事を執筆した後日(2021年6月7日)、信頼あるファクトチェックサイト(POLITIFACT)からファクトチェック記事が出ました。この記事の最後のほうにもその要約を記載しています。

話の引用元「In Deep」はトンデモの個人ブログ

デマッターが話の引用元にしているのがこちらの個人ブログ「In Deep」ですが、ハッキリ言ってトンデモの個人ブログです。そして読者を有料のメルマガに誘っていることから…言わずもがなのよくあるパターンです。

バイラム・ブライドルについて、このこのサイトでは「mRNAコロナワクチンの開発者」と書いてますが、いきなり間違ってます。バイラム・ブライドルは mRNA ワクチンの開発者などではありません。mRNA の開発者と言えるのはカタリン・カリコ博士です。

In Deep 管理人

In Deep の管理人さんは医療従事者でも研究者でもないですね。

In Deep の参照先サイトも胡散臭いサイト

で、その In Deep が話の根拠としているサイトが、LifeSiteNews.com という胡散臭いニュースサイトです。

ニュースサイトの信頼性をチェックする NewsGuard というツールでこのサイトを調べてみると、次のような評価になります:

注意が必要です:この Web サイトは報道倫理規定に著しく違反しています

この話題を伝えてる他のサイトも「報道倫理規定に著しく違反しています」という評価ですね。

「信用ならないニュースサイトですよ」ということです。

「厚労省の秘密資料を入手した」というのは嘘

このブライドル氏の記事には「日本政府(厚労省)の秘密資料を手に入れた」というような記載があります。

その秘密資料(英訳したもの)というのがこちらです(冒頭部分のみ)。

しかし、事実は、上記の資料は秘密資料などではありません。

オリジナルは、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)で公開されているこの文書です。

PMDAとは

PMDAというのは、日本において、医薬品や医療機器などの品質、有効性および安全性について、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査し(承認審査)、市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行う(安全対策)ことを通じて、国民保健の向上に貢献することを目的としています。

バイラム・ブライドルは獣医学博士

バイラム・ブライドルが所属するゲルフ大学とは獣医大学であり、彼は医師ではなく獣医学博士(Doctor of Veterinary Medicine)です。

この話のソースサイトではなぜか「獣医」という語に触れていません。何か都合が悪くてあえて記載しなかったと思うのは考えすぎでしょうか。

※もちろん肩書に関係なく、正確かつ有益な情報を発信されている方は大勢います。

彼はウイルス免疫学者でもありますが、彼の研究対象は癌治療を目的としたウイルスの研究およびウイルス誘発性サイトカインストームの研究です。

新型コロナワクチンについては彼の専門分野と言えません。(参考サイト

信頼性のある大手ニュースサイトはこの話題を無視

歴史と信頼性のある大手のニュースサイトはこの話題を取り上げていません。

この話題を取り上げているのは、前述したように、信頼性の薄いあやしいニュースサイトか、トンデモ好きな個人サイトやSNSのデマッターなどです。

結論

現在のところ、眉唾の話題としてスルーしたほうが良いでしょう。信憑性は無く、真面目に受け止めるような内容ではありません。

補足1:別のデマッターによるデマ

このデマを下図のような画像で広めてるデマッターもいました。内容は前述の記載と同じものですね。

(図中の説明)

カナダ人。免疫学者のバイラム・ブライドル教授(プロインパンクト科学者)は、「mRNAスパイクプロテインインプンクトは大失敗だった。スパイクタンパク質は優れた標的抗原だと思っていましたが、スパイクタンパク質自体が毒素であり、病原性タンパク質であることを知りませんでした。そのため、ワクチンを接種することで、誤って毒を与えてしまうことになるのです。

現在では、心血管障害や不妊の原因となる毒素であるという明確な証拠があります。実験室でスパイクタンパクを注射された動物は、まさにこのダメージを受けました。」

2つのURLが書かれています。

  1. https://uncutnews.ch/impfstoffbefuerworter-und-forscher-wir-haben-einen-grossen-fehler-gemacht-mit-covid-19-impfstoff/
  2. https://alschner-klartext.de/2021/06/01/kanadischer-wissenschaftler-bleibt-mit-warnung-vor-covid-impfung-standhaft/

①のURLのサイトは、やはり、「注意が必要です:この Web サイトは報道倫理規定に著しく違反しています」という評価でした。

②のURLのサイトは「評価不能」でした。かなりマイナーなニュースサイトのようですから、やはり記事の内容に信憑性はないと思ったほうが良いです。

補足2:ファクトチェック出ました

POLITIFACT(信頼あるファクトチェックサイト)からファクトチェックが出ました。

No proof for researcher claim that COVID-19 vaccines’ spike protein is a ‘toxin’

「新型コロナワクチンのスパイクタンパク質が「毒素」であると主張する研究者がいますが、その証拠はありません」

https://www.politifact.com/factchecks/2021/jun/07/facebook-posts/no-proof-researcher-claim-covid-19-vaccines-spike-/

  • Experts say there is no evidence that the vaccines produce a toxin that could cause heart problems and neurological damage, as Canadian viral immunologist Byram Bridle maintained.
    専門家は、カナダのウイルス免疫学者バイラム・ブライドルの主張を否定しており、ワクチンが心臓の疾患や神経学的損傷を引き起こす毒素を生成する証拠はないと述べている。
  • Bridle has not produced evidence to prove his claim, which has been widely shared on social media.
    ブライドルは、ソーシャル メディアに広く拡散した彼の主張を証明する証拠を提示していません。
  • “The document he cites is an anti-vaxxer product with no real scientific data supporting its claims.”
    「ブライドルが引用した文書は反ワクチン製品であり、その主張を裏付ける実際の科学的データがありません。」

 

 

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