次のような画像を出して「特殊染料を使ったワクチンで皮膚にデータを記録するつもりだ!世界の黒幕が人類を管理するためだ!」と主張する人がいますが、デマです。
現在、マイクロニードルパッチを利用した開発段階のパッチ型ワクチンがありますが、上記の画像は、パッチ型ワクチンに組み込んで使用することを想定している、研究中の記録用の特殊染料です。
マイクロニードルパッチとは、生体内溶解性ポリマーを材料とした約150㎛長のニードル(針)から形成されるシート状パッチであり、スキンケア化粧品業界等では既に実用化されています。ニードルは微細なため、皮膚に貼った際も痛みが少なく、皮膚内に直接主成分を補充できるため高い効果が期待されます。
この特殊染料の研究は、「世界の黒幕」だの「人類管理」などの妄想とはもちろん無関係であり、主に、ワクチンの接種記録の管理が難しい開発途上国での使用を想定したものです。
開発途上国の一部の地域では、誰がワクチン接種を受けたのか、追加接種が必要かどうかについてのデータがないため、予定通りにワクチン接種を行うことが非常に難しい場合がある
「特殊な染料で皮膚にワクチン接種を記録」
https://www.carenet.com/news/general/hdn/49335
その他の参考記事
医療記録を「患者自身」に書き込む——量子ドットで情報を皮膚下に埋め込む技術を開発
麻疹や風疹、おたふく風邪などのワクチンは、一定期間あけて複数回受ける必要があり、予防接種の履歴管理が重要になる。日本では母子手帳に記録を残すが、世界には医療記録の保存設備や制度が整っていない地域もあり、適切な予防接種を受けられないために年間約150万人もの命が失われているという
https://fabcross.jp/news/2020/20200212_the-skins-surface.html
予防接種歴を皮膚下に記録、米MITが染料開発 ゲイツ財団支援
https://www.afpbb.com/articles/-/3260243