上のような皮膚障害の画像を出して、「ワクチンを打ったせいでこうなった!ワクチンは危険!」と主張する人がいますが、根拠がありません。
ソース不明、連絡が取れない、因果関係不明
皮膚障害の画像を出してワクチンが危険だと主張している人物に、その画像のもともとの出所(一次ソース)を尋ねてみましょう。ほとんどの人がどこから出て来た画像かすらも答えられないでしょう。
どこから持ってきたかも不明な画像なんて信じるに値しません。
稀にソースが判明した場合においても、現在のところ結論は次のいずれかになるでしょう。
- 画像に写っているとされる人物と連絡が取れない状態か、画像の人物が具体的・詳細な説明を拒否している。つまりその画像が説明されている通りのものかどうか確認が取れない。
- 新型コロナワクチンと皮膚疾患の因果関係が認められていない。ワクチンを接種したタイミングで、別の理由で偶然に起きた皮膚疾患の可能性が高い。
no direct link has been established between COVID-19 vaccination and shingles or other serious skin conditions.
新型コロナワクチンと帯状疱疹またはその他の深刻な皮膚障害との直接的な関連は確立されていません。Despite all the talk, COVID-19 vaccination does not infect people with shingles
明らかなデマ画像の例
実際のところ、多くの画像が、ワクチンとは全く関係ないものであることが分かっています。以下はそのいくつかの例です。
デマ画像1
この画像は、世界初の新型コロナワクチンの臨床試験(2020年2月)が始まる前の2020年1月には存在していたことが分かっています。
詳しくはこちらをご覧ください。
デマ画像2
この画像は2008年3月22日には存在していた画像です。
詳しくはこちらをご覧ください。
デマ画像3
こちらの画像は、世界初の新型コロナワクチンの臨床試験(2020年2月)が始まる前の2019年4月には存在していたことが分かります(右下)。
https://twitter.com/q44bh4aD6wzu8Pv/status/1432317742351151109
ワクチン接種と同じタイミングで偶然発症したと思われる例
米国ですでに1,360万人以上が新型コロナワクチンの接種を済ませていたときに起きた稀な症状です。
ワクチン接種済みの人達の間においてこの病気が発症した率は、ワクチン接種してない人達の間における発症率と比べて高くはありませんでした。
“So far, the data indicates that shingles and herpes are not occurring at an increased rate in the vaccinated population,” said Schaffner, who encourages people who get a rash of any kind — or shingles — following vaccination to report it through that system.
ヴァンダービルト大学医学部感染症部門教授・ウイリアム・シャフナー(William Schaffne)は、「データによれば、これまでのところ、帯状疱疹とヘルペスの発症確率はワクチン接種を受けたグループで高くなっているわけではない」と述べています。彼はワクチン接種後に発症したあらゆる種類の発疹または帯状疱疹を有害事象報告システムに報告するように勧めています。Despite all the talk, COVID-19 vaccination does not infect people with shingles
詳しい情報が得られていない例
詳しい情報が得られていない例(1)
ネットで広く拡散したこちらの画像は、常にデマを流しているデマッターとして有名なアレックス・ベレンソン(Alex Berenson、「パンデミックの最悪の男」)が流したものです。
https://twitter.com/AlexBerenson/status/1384164546793771010(アカウントは凍結されました)
投稿には医師によるものとされる情報が含まれていますが、確認が取れていません。
画像の男性の症状は、通常は薬や感染症によって引き起こされる単純ヘルペスなどの発疹(多形紅斑)であると思われますが、ベレンソンの投稿以外の情報が無いため、詳細は不明なままです。
We reached out to Berenson by email, but he did not respond.
ファクトチェックの記者がメールでベレンソンから話を聞こうと連絡しましたが、ベレンソンは返事をしませんでした。Despite all the talk, COVID-19 vaccination does not infect people with shingles
詳しい情報が得られていない例(2)
こちらの画像の人物は、イギリス南東部のフォークストン(Folkestone)の住民だということが分かっています。
しかし、ファクトチェック記事 Knack の記者がこの男性に連絡しましたが、返事を得られませんでした。詳細は不明です。
皮膚科医・アレルギー専門医のMartine Grosberは、このような症状がワクチンによって起きたかどうかを写真のみで判断することはできないと述べています。
ファクトチェック:Factcheck: nee, dit is geen gevaccineerde Vlaming
有害事象報告システムのデータは参考程度
反ワクチン派は、ワクチンが有害だとする根拠として有害事象報告システムのデータをよく出しますが、これは明らかな間違いです。
有害事象報告システムには、誰でも報告を登録できるようになっており、そこに登録されたデータには検証も精査もされていないものが含まれるため、鵜呑みにしてはいけないものです。詳しくはこちらをご覧ください。
注射部位の赤味や発疹はすぐに治る
注射部位が赤くなったり腫れたり、稀に軽度の発疹が出る人がいるのは事実ですが、通常、それらはすぐに治ります。発疹は新型コロナワクチンだから起きるわけではなく、他のワクチンや薬の接種によっても、稀に起きる可能性があるものです。
experts say those rashes may simply be a sign that the immune system is working.
専門家は、これらの発疹は単に免疫システムが機能しているしるしだろうと述べています。Such rashes are “pretty innocuous and easily treated,” said Adalja.
そのような発疹は「無害であり簡単に治療できます」とアメシュ・アダルジャ医師(Dr. Amesh Adalja, ジョンズホプキンス健康安全保障センターの上級医師)は言った。Despite all the talk, COVID-19 vaccination does not infect people with shingles
現在、日本で認められているファイザーワクチンに関しては皮膚科の範囲では大した副作用はないと思っていただくと良いかと思います。
はなふさ皮膚科「コロナワクチンの副作用(皮膚科学的な見地から)」
https://mitakahifu.com/16762-2/
その他の参考記事
口元が歪んだ顔写真(ベル麻痺)が新型コロナワクチンの副作用だとする主張の嘘
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