デマと知りながらデマを垂れ流している悪質かつ不審人物が多数います。騙されないように気をつけてください。

「PCR検査で果物が陽性になった」はデマ

デマの内容

次のような画像や動画を出して

PCR検査でキウイ、オレンジ、イチゴ、グミ、トマト、トマトケチャップ、フルーツジュース…が陽性になった!

PCR検査はデタラメだ!

と主張する人がいますが、デマです。


https://www.facebook.com/sasha.harrison.984/posts/10165137981190517
https://www.facebook.com/alycia.hill.1/posts/10157823431296916,and
https://www.facebook.com/scott.gavin.754/posts/4429636647070371


https://twitter.com/mitsuemon666/status/1480877226103287812
https://www.facebook.com/100005043692717/videos/1702415869936520/


https://twitter.com/everyloto/status/1481416417027432451

結論

まず、上記の画像や動画の検査キットは、PCR検査用ではなく、抗原検査キットです。

そして、果物のジュースなど、体液よりも強い酸を持つ液体を検体に使うと、検査キットの化学的性質を破壊してしまうので、正しい検査結果が出なくても当然です。

また、正しい検査手順を守らなければ、正しい検査結果が得られないことがあります。

オレンジの動画については、検査結果が「判定不可」になっています。

PCR検査ではなく抗原検査

まず、上記の検査はPCR検査ではなく、抗原検査です。

以下のような、平らなカードのような形状をしていて、その場で自動的に結果が分かるものは、抗原検査か抗体検査のいずれかです。PCR検査ではありません

PCR検査は、以下のような容器に唾液などの検体を入れて(綿棒のようなものを鼻に入れて検体を採取する場合もあります)、PCR検査を行う検査機関に検体を送って、調べてもらう必要があります

オレンジの動画について

こちらの検査キットは、前述のように、PCR検査キットではなく抗原検査キットです。そして後述のように、検査結果は「判定不可」です。

上記の動画内で使われている検査キットの商品名は「MöLab COVID-19 Rapid Antigen Test」と言います。商品ホームページはこちらです。

そのページの下のほうに使用説明書(M200969 – COVID-19 Rapid Antigen Test – IFU)があり、次のように説明されています。

上記の動画内の結果と比較すると、「判定不可」になっていることが分かります。

参考

なお、この検査キットについては以下の記事でも説明しています。

 

「水道水でPCR検査が陽性になった」という動画の嘘(3)

その他の果物の動画について

こちらの検査キットは、前述のように、PCR検査キットではなく抗原検査キットです。

参考

ちなみに上記のデマッターの画像の検査キットは、イギリスのNHS (National Health Service、健康保険サービス)が提供した抗原検査(Antigen Test)キット(INNOVA社製)です。

https://www.standard.co.uk/news/uk/experts-cochrane-government-university-of-birmingham-liverpool-b926055.html
https://www.forbes.com/sites/williamhaseltine/2021/06/01/united-kingdom-data-show-population-based-rapid-antigen-tests-are-a-potent-covid-control-tool/?sh=7466e6c4e26a

左の写真のパッケージには「抗原検査(Antigen Test)」と書かれており、右の写真の見出しに書かれている「Lateral Flow Tests」は「抗原・抗体検査」であることを意味します。

ラテラルフローテストとは、Lateral(側面を)flow(流れる)test(検査)という意味で、略して LFT と呼ばれたり、免疫クロマトグラフィーまたはイムノクロマトグラフィ(immunochromatography、immuno[免疫]+chromato[着色]+graphy[表現法])とも呼ばれます。

抗原抗体反応を利用した手法のことで、簡易・迅速な抗原検査キットや抗体検査キットで使用されている方式のことです。

抗原検査キットで果物のジュースなど体液よりも強い酸を持つ液体を検体に使うと、検査キットの化学的性質を破壊してしまうので、正しい検査結果が出なくても当然です。

また、正しい検査手順を守らなければ、正しい検査結果が得られないことがあります。

以下はロイターのファクトチェックからの抜粋です。

a positive test result actually reveal what happens when devices are degraded by using substances other than those intended.
実は、この陽性の結果は、目的外の物質を使用したときに検査キットが劣化することを示しています

Professor Mark Lorch, professor of public engagement and science communication and interim head of department for chemistry, biochemistry and chemical engineering at the University of Hull, told Reuters by email.
マーク・ローチ教授(ハル大学の化学・生化学・化学工学の暫定責任者、公衆関与と科学コミュニケーションの教授)は、ロイターに電子メールで次のように述べました。

He said that while results might appear to be positive, they reveal something else. “Instead, the acidity of the juices, soft drinks, coffee etc. disrupt the delicate antibodies on the test devices and so corrupt the test results.”
「検査結果は陽性に見えるかもしれないが、これは別のことを意味しています。ジュース、ソフトドリンク、コーヒーなどに含まれる酸が、検査キットに含まれるデリケートな抗体を破壊してしまい、間違った結果が出たのです。」

Inside a lateral flow test, there is a strip known as the conjugation pad where antibodies are attached to gold nanoparticles.
検査キットの内部には、抗体が金ナノ粒子に付着している連結パッド(conjugation pad)と呼ばれる帯があります。

Those antibodies bind with virus particles should the test encounter the coronavirus (Lateral Flow Test Teardown).
この抗体は、検査でコロナウイルスに触れると、ウイルスの粒子と結合します(「ラテラルフロー検査の分解」を参照)。

After taking a swab from the throat and nose, the sample is mixed with a buffer to ensure optimum pH before dripping it onto the strip (here , here , here and here).
(正しい検査手順では)綿棒で検体を喉や鼻から採取してから、検体をバッファーと混合して最適なpHにしてから検査キットに滴下することになっています(ここここここここ)。

“These tests rely on molecular components such as the antibodies and functionalised nanoparticles being able to bind and this is determined by electrostatic interactions between the components,” Andrea Sella, a professor of chemistry at University College London (UCL), told Reuters.
「検査は、結合可能な抗体や機能化ナノ粒子などの分子成分に依存しており、結合は成分間の静電相互作用によって起こります」とアンドレア・セラ(UCL=University College Londonの化学教授)はロイターに述べました。

if you change the pH, you can completely change the charge of a protein from, say, positive to negative and the result is that it will not stick correctly.
pHを変更すると、たとえば、タンパク質の電荷が正から負に完全に変更されることがあり、その場合、タンパク質が正しく付着しなくなります

Sella added that it was therefore “unsurprising” that LFDs were disrupted when testing substances such as Coca-Cola and orange juice, considering the pH is significantly more acidic than biological fluids.
アンドレア・セラ(UCL=University College Londonの化学教授)は、コカ・コーラやオレンジジュースなどのpHが体液よりもずっと強い酸性であることを考えると、検査キットが壊れたとしても「驚くべきことではない」と付け加えた。

The two resulting red lines on an LFD do not have any meaning in these circumstances, he said, because “you’ve wrecked the underlying chemistry that allows you to do the delicate detection you want.”
このような状況では、検査キットに生じる2つの赤い線に何の意味もありません。「検査に必要なデリケートな化学的性質を破壊してしまったからです」と彼は言いました。

Moreover, the US Food and Drug Administration (FDA) has warned that there is potential for false positive results with antigen tests, including when users do not follow the instructions (here).
また、FDA(米国食品医薬品局)は、ユーザーが検査手順を守らない場合を含め、抗原検査で偽陽性の結果が生じる可能性を警告しています(ここ)。

キウイのPCR検査動画について

キウイについても上記のファクトチェックの通りですが、キウイの動画を取り上げたファクトチェック記事がありましたので、リンクを置いておきます。

A kiwi fruit did not test “positive” for Covid

 

 

 

 

 

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