油断が感染爆発につながる
- 「日本の新型コロナの感染者数・死者数は海外(米、インド、ブラジル、インドネシア…)と比べれば少ないから問題ではない」
- 「さざ波程度だ」
などと発言する人がいますが、それは感染症の本質を理解していないからです。
感染対策は「感染者が増えてきたからそろそろ対応するか」などと考えていると手遅れになります。気付いたときには既に手がつけられない状態になっている(感染の拡大に歯止めがかからない)可能性がある…それが感染症の怖さの1つです。いわゆる感染爆発です。
感染爆発を防ぐためには先手先手の対応が必要です。
指数関数的な増加(栗まんじゅう的な増加)
感染爆発が起きたときの感染者の増え方は、しばしば「指数関数的な増加」と表現されます。1人が2人に感染させるとその2人が4人に、4人が8人に、というアレです。
「指数関数的な増加」をグラフで見ると、最初のうちは増え方が緩やかだったのに、あるところから急激に増加していくのが分かります。
指数関数的に増加するグラフ
https://kobonero.com/covid-sisukansu/
まだピンとこない人は、「ドラえもんの栗まんじゅうみたいに増える」と言えば分かるでしょうか?(笑)
以下はツイッターからの引用です。
デルタ株の増え方は「指数関数的」なものだと説明してもキョトンとしている人に「栗まんじゅう的」と説明したら、「それやべーじゃん!」とすぐ理解してくれる点から見ても「ドラえもん」は偉大だ。
「栗まんじゅう的」が分からなかったので調べてみた。 …理解しました。
(ドラえもんの栗まんじゅうのように)5分で倍になるなら、
- 1時間で4,096個、
- 2時間で16,777,216個、
- 3時間で68,719,476,736個、
- 4時間で281,474,976,710,656個、
- 5時間で1,152,921,504,606,850,000個、
- 6時間で4,722,366,482,869,650,000,000個
になります。
日本の対応を批判後、感染に飲み込まれた欧米
まだ世界の新型コロナ感染者が(中国・武漢を除いて)少なかった2020年2月、クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」で新型コロナウイルス感染症の集団感染が発生し、日本がその対応に苦慮していたとき、米国を始めとする海外から日本への批判が相次ぎました。
米国内では感染拡大を防げなかった日本政府への批判が強まっていた
「(日本政府の検疫は)感染をとどめるものではなく、船内で感染を広げているという証拠が山ほどある」
「中国・武漢に次ぐ、世界で2番目に大きいコロナウイルスの集中場所だ」
英国では、SNSなどに船内の様子を頻繁に投稿していた英国人夫妻の感染が確認され、ショックが広がっている。BBCなどは、同国内にいる夫妻の息子が「日本での隔離が失敗だったのは明らかだ」「ちゃんと面倒を見てほしい」と涙ながらに訴える様子を伝えた。
ロシア外務省も10日に、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号での日本の対応は混沌として場当たり的だ、と強く批判している
しかし、そのすぐ後、2020年3月から4月にかけて、米国はあっという間に新型コロナの感染爆発に飲み込まれていき、現在までに61万人を超える死者を出しています。
英国も同時期に感染拡大し、現在までの死者は13万人以上、ロシアの死者は16万人以上です。
(比較:日本の死者は現在1万5千人超)
これは、感染症に対する油断がどのような結果を招くのか、という教訓です。