「新型コロナに感染した人なんて周囲に誰もいない。自分もかかってない。新型コロナは嘘だ」と主張する人がいます。
そう感じる人もいるのかもしれません。その理由について考えてみます。
新型コロナとのつきあいはまだ短い
まず日本におけるインフルエンザの歴史について。
日本においてインフルエンザを疑わせる記述はすでに源氏物語(1008年~)や当時の医書にあるそうです。江戸時代後期1832年の「琉球風」や1850年の「アメリカ風」もインフルエンザのことだと言われています。つまり日本人とインフルエンザのつきあいは少なくとも170年以上あるようです。
普通感冒(ふつうの風邪)とのつきあいは当然インフルエンザより長いでしょう。
一方は170年以上つきあってきたインフルエンザと普通感冒、もう一方はまだ1年あまりしかつきあっていない新型コロナです。インフルエンザや普通感冒と同じ感覚で「新型コロナにかかった人が周囲にいないのはおかしい」と言うのはちょっと違うのではないでしょうか。
「体感」できる感染者の人数は少ない
この記事の執筆時点で大阪の感染急拡大・医療崩壊がニュースになっていますが、先日(2021年4月20日)大阪府の人口に対する累計感染者数を計算してみました。
大坂府で感染経験者は128人に1人(0.78%)。全員が「わたし感染したよ!」と言うわけありませんし、隠してる人もいるでしょう。
そう考えると、テキトーな想像になりますが、体感では500~1,000人に1人くらいが感染したような感じではないでしょうか?
まだ周囲に感染した人がいないという気がしても不思議ではないでしょう。
わざわざ他人に言う人は少ない
新型コロナの感染者に対してはまだ偏見もあり、感染したとしてもそれを他人に話すことは少ないので、知られていないだけという可能性もあります。
「周りにコロナになった人いないな」と思っている方。 いるけど言ってないだけだと思います。私の周囲に複数人いますが、皆親しい人以外には伝えていません。 全員軽症か中等症ですがワクチンを打つ選択をしています。 意味が分かるでしょうか? 「もう二度とかかりたくない」ということです。
無症状感染者が多く気付かない
新型コロナの特徴として、無症状感染者が多いことが挙げられます。中には「風邪かな?」と思っているうちに治ってしまう人もいるでしょう。感染者がいても、感染者本人も周囲の人も、気付かないことが多いのです。
感染者全体に対する無症状感染者の割合にはいろいろな説があるようですが、たとえば感染者の半分は無症状という報告があります。
「シンガポール、新規感染者の半数は無症状=当局者」
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-singapore-wong-idJPKBN23F15U
軽い症状で済む人が多いと言っても「たいした感染症ではない」ということではありません。
新型コロナに感染した人は、どんな症状が出るかは「ロシアンルーレット」と表現する人がいるように、人によって症状の出方は非常に多岐に渡っています。
そして無症状感染者が感染を広げ、抵抗力が弱い人達につらい思いをさせているということが分かっています。
そして、無症状感染者も、その後、後遺症を発症して後遺症に悩むことがあると分かっています。
そこらじゅうで感染者が出るような状況は「もはや手遅れ」の時
そもそも、感染が拡大しないように、日本中そして世界中で戦っているわけです。周囲に感染した人がいるという実感がないのは喜ぶべきことです。
周囲にどんどん感染者が出てくる状況とはどんな状況でしょうか?
それは、1年で50万人を超す新型コロナの死者を出したアメリカのような状況でしょう。
周囲に感染者の存在を感じないという人が多い日本でさえ、すでに第3波で医療崩壊を経験し、現在(2021年5月上旬)、第4波(変異株による新しいフェーズとも言われます)により大阪はすでに医療崩壊し始めています。
そこらじゅうで感染者の存在を感じる状況になったとき、日本は医療壊滅しているでしょう。社会の重要な基盤である医療を失ったら「経済を動かそう」なんて悠長なことは言ってられなくなります。そうなってからでは手遅れなのです。
この記事の執筆時点でのアメリカの新型コロナ死者は57万人を超え、ブラジルの死者は38万人を超えています。
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