デマと知りながらデマを垂れ流している悪質かつ不審人物が多数います。騙されないように気をつけてください。

「新型コロナの存在証明の開示請求をしたら “存在は証明されてない” との回答を得た」はデマ

「厚労省、東京都、大阪府、国立感染症研究所、etc. に、新型コロナの存在を証明する文書の開示を請求したら、”新型コロナの存在は証明されていない” と言われた」と主張する人達がいます。

それはデマです。勘違いまたは意図的な曲解なのかもしれません。

すでに世界中で存在証明が公開されている

まず、すでに世界中で、誰もが見れるところに新型コロナウイルスのゲノム(≒遺伝子)情報がとっくに公開され(日本では2020年1月末には公開)、世界中でバンバン活用されているのに、いまさら「存在を証明する文書を出せ」という要求がトンチンカンなわけです。要求されたほうが「はぁ?」となるわけです。

日本だけでも新型コロナの存在を示す200個近いゲノム情報が公開されています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/?term=SARS+cov2+JAPAN+complete

 

新型コロナウイルスの(「開示請求」についてではなく)存在証明そのものについては、こちらも参考にしてください。

「新型コロナウイルスの存在は証明されてない」というのはデマ

「新型コロナウイルスの存在は証明されてない」というのはデマ

要求先が見当違い

次に、ウイルスの存在証明を要求する場所が違います。ウイルスの存在証明(学術論文)を行政機関に求めても「いや、うちに言われても…」となるのは当然です。

八百屋さんに「サンマがいることを証明してください」と要求して、八百屋さんから「はぁ? うちにサンマは置いてねぇよ」と言われて、「ほら!やっぱりサンマなんてこの世に存在しないんだ!」と言ってるようなものです。

以下は一部の人達が「国・東京都・大阪府が新型コロナウイルスは存在しないって認めたぞ!」という根拠にしている回答文書です。

厚労省の回答1

厚労省の回答2

東京都の回答

大坂府の回答

国立感染症研究所の回答

上記文書の意味を分かりやすく赤字で示すとこうなります。

厚労省の回答1

厚労省の回答2

東京都の回答

大坂府の回答

国立感染症研究所の回答

 

感染研のケースについては、店先(公開HPやゲノムデータベース等)に魚を並べてる魚屋さんに対して、「魚って存在するんですか?」「 魚が存在する証明書を発行してもらえます?」と言ってるようなものですね。

国立感染症研究所からのメール回答例

国立感染症研究所からのメールでの回答例です。(伊賀治氏提供

培養細胞等を経ずに患者から直接分離された新型コロナウイルス?

培養細胞等を経ずに患者から直接分離された新型コロナウイルス」が確認されなければその存在が証明されたことにはならない!と主張する人もいます(このことを「コロナウイルスが “単離” されてない」と表現する人もいます)。しかしこれはほぼ難癖と言えます。

誤解を招く画像1

上画像は「CDCは存在証明できないと言ったぞ!」と主張する人が根拠として掲載していた画像ですが、水色下線部分に「培養細胞等を使わずに」という無理難題な要求が書かれています(水色下線はブログ主が引きました)。

誤解を招く画像2

誤解を招く画像3

この件に対して回答していた方(Yosenapar, PhD氏)のツイートをご紹介します。

まずはトンデモさんたちが請求している文書に関しての確認。

要約すると「SARS-CoV-2が患者から直接分離された記録。ただし、培養細胞等を経ていないこと。」

※スレッド上には同一の請求を他国機関にした様子あり。

 

勘の良い方はここで気づくだろうが、この「ただし」以下が、これらの請求をただの無理難題にしている。

同様の条件(ただし微生物の場合は「培養細胞」ではなく「培地」)が付くと、ウイルスのみならず、微生物に関しても「分離の証明」は(ほぼ)できなくなってしまう。

 

ウイルスであれ、微生物であれ、「分離した」という場合、 それが「(理論上)単一粒子・単一細胞であること」を指す。

ただし、後述

 

当該ウイルスの場合、 患者→サンプル採取→何らかの方法で1粒子を抽出→分離成功!

ここで問題に気づくだろうか。。。

 

せっかく取れたまじりっけなしの1粒子。

それがSARS-CoV-2であることをどうやって確認する?

確認方法としては、ゲノム解読やPCR等、色々あるものの、1粒子ですよ?

「神の手」的な研究者が作業をしても、抽出や検出過程で、おそらくロスするでしょう。

 

せっかく取れた1粒子を例えばゲノムだけ読んで、使い切るのももったいないでしょう?

何より、一回使い切りでは再現性もくそもないし。

だから、増やすんです。

せっかく取れた1粒子だから、他のウイルスに汚染されていない培養細胞に感染させて増やすんです。

 

実際には、「1粒子→増やす」よりも、「ごちゃまぜ→徐々に特定の粒子の割合を増やす→理論上、単一粒子由来とみなせる」というパターンが多い。

 

十分に増えた後であれば、そこから一部を取ってきてゲノムを読むもよし、PCRや抗体検査を設計する際のコントロールに使うもよし、 健康な人に飲んでもらって、感染機構の研究だってできるんです。

 

したがって、現実的には上述の「分離した」の説明文には追記必要で、 「(理論上)単一粒子・単一細胞【由来のクローン集団】であること」を指す。

 

【例】韓国でのSARS-CoV-2分離論文↓

Vero 細胞使用。

https://synapse.koreamed.org/upload/SynapseData/PDFData/0063JKMS/jkms-35-e84.pdf

 

【例】コウモリからのインフルエンザAウイルス分離論文↓

特定病原体除去発育鶏卵使用。

https://journals.asm.org/doi/full/10.1128/jvi.01059-18

 

ということで、「培養細胞等を経ていないこと」と言われると、「それはさすがに無いで、しかし(笑)」というお話なのです。

 

ちなみに、例えば無菌・無ウイルスなヒトを作ることができれば、培養細胞を経ずにウイルスの分離が可能よ?

あるいは、無ウイルスじゃなくても、外来ウイルスが異常に増えやすいヒトとかでも。

 

バクテリアのウイルスを分離するときとかは、対象となるウイルスが圧倒的に増えてさえくれれば、 使うホストが無ウイルスである必要はない。

無ウイルスであるに越したことはないけれど。

 

【追記】

請求文書、厳密には「採取したサンプルから、まず培養細胞等を経ることなく…」なので、

「一粒子分離→培養細胞で増やす」をすれば、トンデモさんが満足するのかもしれない。

ただ、一粒子から増やす手間や成功確率を考えると、やっぱりやらないよね。

 

ちなみに原核生物業界では、一細胞に分けてから増やすというのをやっている人たちはいます。

「他種との競合を避けることで、珍しいヤツが取れるかも」ということで。ちゃんと成果も出ています。

 

【「ツッコミが来たら、でいいや」と思っていたけれど、再燃しているようなので、これを機に追記】

「密度勾配遠心は?」

「原理的にはイケそうな気がするけど、やっぱり完ぺきではないよね。」 というお話↓

https://www.beckman.jp/resources/reading-material/interviews/dr-yabui-ucf-lecture/episode-4

 

【「ウイルスに光ピンセットはさすがに無いか・・・」と思っていたら、光ピンセットとマイクロ流路の合わせ技で、単一細胞に単一ウイルスを感染させるというすごい論文を見つけたので追記】

こちら↓

https://link.springer.com/article/10.1007/s10404-010-0739-4

「分離」「単離」「純粋化」という言葉はあまり区別されていない(曖昧に使い分けられている)面もあるようです。

先のツイート、長くなってしまいましたが、要点としては、
・最近では多くの場合、「単離」「分離」「純化」等はあまり区別していない。
・上記のいずれかの表現が使われた場合は、クローン集団が得られたと見なしている。
(もちろん後々、混入が見つかることもある。が、まれ。) ということです。
https://twitter.com/Yosenapar/status/1441365398318837770

それが(一部の人の間で)混乱を生んでいる面もあり、またそれを「単なる言葉遊び」と切り捨てる人もいるようです。

興味がある方はYosenapar, PhD氏のこちらの解説もどうぞ。

 

こちらは翡翠氏の記事「ウイルスの単離について」。

荒川央(あらかわひろし)氏の欺瞞を暴く #2:ウイルスの単離について(翡翠氏)

ちなみに、「純粋培養できなければ病原体の証明ができないじゃないか」という人もいますが、現代では遺伝子解析により可能なようです。


https://logmi.jp/business/articles/322588

このような意見もあります。

混ざりもののままだと何が問題なんですか? 素朴な疑問。
https://twitter.com/FOUR_TIMES_FUN/status/1440516177277587464

その点は論破ずみです まさ君に「分離細胞を用いないウイルス分離の記録を世界中のあらゆるデータの中から提示してください」と言っても まさ君は出さずにブロックして逃げたので 「分離細胞を使わないウイルス分離は不可能」と証明されました
https://twitter.com/NobTa7ka/status/1440702562659749896

そのほか、ヒトに実際に感染させる実験「Human Challenge Trials」もありますし、なにより現実の感染被害状況がウイルスの存在を証明しています。

参考URL

「SARS-CoV2の存在証明を開示請求したら、存在しないと回答された」はデマ(伊賀治氏)

伊賀治氏のノートにも詳しく掲載されています。

行政が管轄するのは行政文書のみ。研究論文を作成したり取り寄せて保管したりはしないと答えているだけで、SARS-CoV2が存在しないと言っているわけではない。また、研究論文は行政文書ではないので開示する義務はない。このような開示請求は請求者側の勘違いか、恣意的な嫌がらせである。

https://note.com/osamu_iga/n/n56c16f292f68

「世界の各国も存在証明できてないぞ!」というようなデマについては、伊賀治氏のノートを確認してみてください。前述のようにトンチンカンな機関に証明要求していたり、あるいは、そもそも不可能な条件を付けて存在証明を要求していたりします。

開示請求できる文書・できない文書(総務省)

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/jyohokokai/kaiji.html

発刊も保有もしてないものは無い


https://twitter.com/jsdftrader/status/1414438036981485568

あなたの存在証明の開示請求をしたらどうなる?


https://twitter.com/MIKITO_777/status/1406599621418180610

ここにありますよ

新型コロナの存在を証明する論文の開示請求(?)している皆様〜、 そんな面倒なことしなくても教えて差し上げますよ~。 こちらが、世界最高の医学誌NEJMに掲載された、新型コロナの存在を突き止めた論文です。 請求しなくても、2年前に全世界に向けて開示してますよ~ https://nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2001017?query=featured_home
知念実希人 小説家・医師

塩基配列もこちらですよ。 https://ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/1798174254
かもか

鬼滅の刃の存在証明の開示請求をしたらどうなる?


https://twitter.com/ERxICU_yakkun/status/1406385801324220422

「火星は存在しない」ことを証明したいなら?


https://twitter.com/pokesukes/status/1395416736732565509


https://twitter.com/pokesukes/status/1398114609718980608

 

 

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4 COMMENTS

伊藤嵩大

ゲノム情報だけでなく、「注射したら新形コロナの症状が発症しました」「鼻に塗ったら発症しました」みたいな実験を探しているんですが、ご存じないですか?もしよかったら教えてください。単離は求めません。

みい

情報を確認しないで拡散する人も多いですね。

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