デマと知りながらデマを垂れ流している悪質かつ不審人物が多数います。騙されないように気をつけてください。

「ワクチンによる心筋炎で若い人がたくさん亡くなってる」はデマ

デマの内容

新型コロナワクチンを打ったせいで、たくさんの若い人が心筋炎になって亡くなっている!

新型コロナワクチンを打って心筋炎を起こすと普通の生活が送れなくなる!

と主張する人がいますが、デマです。

解説

2022年人口動態調査の結果(心筋炎による死亡者数)(2023/9/16)


https://twitter.com/see__reality/status/1703030648188043718

※日本で新型コロナワクチンの接種が始まったのは2021年2月17日。(参考記事

宮坂昌之氏の見解(2021/10/5)

免疫学の第一人者と言われる宮坂昌之(みやさかまさゆき)氏は次のように述べています。

私は何度も海外のデータを引用して、ワクチン後に見られる心筋炎の頻度は実はきわめて低く、一方、新型コロナに罹患した時の心筋炎の頻度のほうがはるかに高いことを指摘しています。ところがワクチンを怖がる方々はこのデータを正面から見ようとはしてくれません

しかしその頻度は、人口100万人当たり5.8件(約17万2千人に1人)という非常に低いものでした。
JAMA(米国医師会雑誌)は、社説でこの論文のことを取り上げ、「ワクチン後の心筋炎は非常に稀で軽度である」と述べ、さらに、新型コロナ入院患者約28%に心筋炎の所見が見られることを指摘して、コロナ罹患による心筋炎のリスクのほうがワクチン接種のリスクよりはるかに高いことを強調しています。

ワクチンを恐れるよりは、コロナを恐れたほうがいいと私は思います。

宮坂昌之氏 Facebook 2021年10月5日

忽那賢志氏の見解(2021/10/16)

以下は感染症専門医である忽那賢志(くつなさとし)氏の記事からの抜粋です。

なお心筋炎を起こした事例も軽症例が多く、ほとんどの症例は軽快・回復が確認されています

特に報告の多い、10代・20代の男性に絞って比較をしてみると、ファイザー社のワクチンでは100万人あたり10代で3.7人、20代で9.6人であったのに対し、モデルナ社のワクチンでは10代で28.8人、20代では25.7人となっています。

しかし、健康な人と感染者とを単純に比較はできませんが実際に新型コロナウイルスに感染したときに起こる心筋炎の頻度(日本国内の15〜39歳で100万人当たり834人)よりはずっと低く、現時点においてはどちらのワクチンも接種によるベネフィットがリスクを上回っている

若い方も引き続きワクチン接種をご検討ください。

10代・20代男性の心筋炎 モデルナとファイザーのワクチンでの頻度の違い(忽那賢志)(2021/10/16)

厚労省の見解(2021/10/18現在)

以下は厚労省のQ&Aからの抜粋です。

mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン接種後、頻度としてはごく稀ですが、心筋炎や心膜炎になったという報告がなされています。軽症の場合が多く、心筋炎や心膜炎のリスクがあるとしても、ワクチン接種のメリットの方が大きいと考えられています。

特に、1回目よりも2回目のmRNAワクチン接種後に、高齢者よりも思春期や若年成人に、女性よりも男性に、より多くの事例が報告されています。

  • ワクチン接種後に心筋炎や心不全が疑われた報告の頻度やその重症度、突然死の報告頻度よりも、新型コロナウイルスに感染した場合のそれらの発症頻度は高く、重症です。
  • 医学的見地から、心血管合併症の発症、重症化の予防及び死亡率の減少を図るためにも、ワクチン接種は有効であると考えます。

  • いずれのワクチンも、新型コロナウイルス感染症により心筋炎や心膜炎を合併する確率は、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を発症する確率と比較して高いこと等も踏まえ、現時点においては、接種によるベネフィットがリスクを上回っており、全年代において、ワクチン接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない

国内外では、医療機関から副反応を疑う事例が幅広く収集されており、これまでワクチンと因果関係があると考えられていなかった症状も含めて、幅広く評価が行われた結果、このような知見が得られてきました。

新型コロナワクチンQ&A「ワクチンを接種すると心筋炎や心膜炎になる人がいるというのは本当ですか」(厚労省)

心筋炎疑いになる確率と飛行機が墜落する確率

以下は三浦メディカルクリニックの記事「ワクチンと心筋炎!」からの抜粋です。

CDCによれば米国でファイザー、モデルナ製ワクチン接種後に報告された心筋炎疑いの患者は11日時点で3億回投与中1226件でした。約0.0004%となります。若年層を中心に男性の発症が目立ち、接種2回目の方が発症が多かったとされています。

米国運輸局によれば、飛行機に乗って死亡事故に巻き込まれる確率は0.0009%、すなわち、約10万回に1回の確率で事故が起きる可能性があると言われています。旅行で飛行機に乗るときにこの飛行機落ちるかも?と思って乗る人はいますか?ほとんどの人が目的地についた後の予定などで心をウキウキさせているはずです。飛行機の墜落する可能性の方がワクチンの心筋炎の発症確率より大きいのに、飛行機はOKでワクチンはNGなのでしょうか。


軽度の心筋炎が起きる確率は前述の宮坂氏のデータより。その他のソースは “「ワクチン接種で〇〇人死んだ!ワクチン危険!」はデマ” を参照。

心疾患は昔から日本における死因の第2位

すでに60年以上もの間、心疾患は日本における死因の第2位であり続けています。ワクチンと関係なく、もともと比較的多い死因となっている病気ですから、ワクチン接種「後」にも、ワクチンとは関係なく、それなりの数の死者は発生するわけです。


4人に1人の死因はがん ―2020年人口動態統計 : マスクや “密” 回避効果で肺炎は減少」より

厚労省の「副反応疑い報告」に心筋炎の報告が掲載されているからといって、短絡的に「ワクチンのせいだ!」と決めつけるのは正しくありません。

ワクチン接種後の心筋炎は、天然痘ワクチンなどのほうが多い

ワクチンと心筋炎に関して新研究 新型コロナのmRNAワクチンといえば心筋炎
今回の分析では100万接種あたり22.6件 だが、これまでの他のワクチン研究と比較すると
天然痘ワクチン 132.1件
新型コロナ以外のワクチン 56.0件
とまれな心筋炎を認めるのはmRNAワクチン固有の現象ではないと判明
大津秀一 緩和ケア医師

・The Lancet Respiratory Medicine掲載 Myopericarditis following COVID-19 vaccination and non-COVID-19 vaccination: a systematic review and meta-analysis
新型コロナワクチンというくくりで言うと、心筋炎の発生に関して、インフルエンザワクチンとも有意差を認めなかった
実はこの研究、他にも重要な意味を含んでいる(続)

それは天然痘ワクチン等でも心筋炎発生が増加しているように見え、論文考察にもあるように”心筋炎が新型コロナワクチン接種によるスパイクタンパク質への曝露の結果でない事を示唆する可能性”
スパイクタンパク質と関係ないワクチンでも発生増加があるように見え心筋炎は同機序に依らないと考察される

そのため、一部に流布しているイメージの、新型コロナワクチンを打つとそれにより生成したスパイクタンパク質が心臓の筋肉に傷害をもたらし心筋炎を起こすというストーリーが否定的であると改めて(※他にも否定的な研究がある)示されたといえよう
その点でも注目すべき新研究であると考えられる

VAERSのデータは根拠にならない

次のようなグラフを出して、「ワクチン接種で心筋炎がこんなに起きている!危険だ!」と不安を煽る人がいますが、VAERSのデータは正当な根拠にならないので耳を貸す必要はありません。

VAERSなどの有害事象報告システムについて詳しくはこちらをご覧ください。

有害事象報告システムのデータを出して “ワクチンは危険だ” と主張するのは不適切

 

デマッターがこれ以外のグラフ・表などを出したときも、そのソースが何なのかについて注意するようにしましょう。

「ワクチン接種開始後に心筋炎が激増」のグラフはデマ

以下のようなグラフを出して「ワクチン接種開始後に心筋炎が激増した!」と主張する人がいますが、デマです。

このグラフは虚偽情報を発信しているとして問題視されている民間団体の OpenVaers で公開されたものですが、それがデマであることがこちらで解説されています。

厚労省の「副反応疑い報告状況」のデータは根拠にならない

厚労省の「副反応疑い報告状況」のデータを出して、「ワクチン接種で心筋炎がこんなに起きている!危険だ!」と不安を煽る人がいますが、このデータは前述のVAERSの有害事象報告と同様に、ワクチンとの因果関係が認められていないデータが多く含まれており、正当な根拠になりません。

詳しくはこちらをご覧ください。

「ワクチン接種で〇〇人死んだ!ワクチン危険!」はデマ|ほえのブログ

「ワクチン接種で〇〇人死んだ!ワクチン危険!」はデマ

トレイシー・ホウ博士の研究チームの論文はあてにならない

カリフォルニア大学のトレイシー・ホウ博士の研究チームの論文を根拠に「ワクチン接種で心筋炎がこんなに起きている!危険だ!」と不安を煽る人がいますが、この論文は前述のVAERSのデータを根拠としており、また査読前の論文であり、その内容はあてになりません。

問題の記事と研究

健康な10代男性の場合、新型コロナウイルスに感染して入院する確率より、ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの副反応で入院する確率が高いという研究結果が出た。
英紙ガーディアンが13日に伝えたところによると、カリフォルニア大学のトレイシー・ホウ博士の研究チームが1月から6カ月間に12~17歳の米国人男性を対象にワクチン2回接種後の副反応を分析した結果、現在の米国の感染率で見ると新型コロナウイルス感染リスクよりファイザー製ワクチンの副反応のリスクが大きいことがわかった。
「10代男性、ファイザー製ワクチンの副反応がコロナ入院の確率より4~6倍高い」(中央日報)(2021/9/13)

その研究論文(査読前):SARS-CoV-2 mRNA Vaccination-Associated Myocarditis in Children Ages 12-17: A Stratified National Database Analysis

ツイッターの反応

このプレプリントは、他の専門家から方法論に問題ありと指摘されているので注意が必要です。VAERSデータをそのまま使って解析することの問題点が凝縮されているような研究です。具体的な指摘はこちらのリンクから。
新型コロナウイルス_ワクチン情報氏

接種による潜在的な副反応のリスクを慎重に検証する事はとても重要ですが、雑な解析で副反応のリスクを過大に見積もる事は科学的にも誤りですし、公衆衛生的にも問題があります。

これ、COVID-19による”入院”リスクと心筋炎などの”発症”リスクを比較しているのが気になるんですよね。 小児だと入院まで至るのは少数ですし、発生しうる心筋炎などは入院率30%台ですが入院期間の中央値1日程度ですし…。
Sukuna氏

そうなんですよ。本文読むと入院リスクの過大評価は補正されてるようですが。 心筋炎の入院期間の中央値1日というのも米国の話で日本とは印象違いますし、心筋は再生しないので中央値だけで語れない部分もありますし。 もう全然わからないです。
画像診断医k 屋代香絵氏

そういった後遺症の可能性を言うならばCOVID-19もですし、比較するなら発症リスク同士、入院リスク同士が妥当な気も…。 preprintですし、様子見ですかね…。

ですね。 結局、後遺症も心筋炎の重症度分布もまだブラックボックスなので、未来人にしか言えないところがあります。
https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2021-06/03-COVID-Shimabukuro-508.pdf

「心筋炎に軽症はない」はデマ

「心筋炎に軽症はない」「心筋炎になると普通の生活は送れなくなる」などと言う人がいますが(ここまで読んだ方はすでにお分かりの通り)デマです。

以下は三上内科クリニックの「心筋炎」の記事からの抜粋です。心筋炎の軽症・中等症・重症について解説されています。

軽症の急性心筋炎は胸が痛い、何となくだるい、といった症状で終わります。ウイルスが心筋に感染し炎症を起こしますが、その後自然治癒するのです。

「中日・木下投手がワクチン接種による心筋炎で亡くなった」はデマ

なお、いまだに「中日の木下投手はワクチン接種による心筋炎で亡くなった」と言う人がいますが、デマです。

詳しくはこちらをご覧ください。

「中日・木下投手がワクチン接種による心筋炎で亡くなった」はデマ

その他の参考記事

ワクチン受けた若者の心臓炎症、症状軽く大半は直ぐ回復 米論文(CNN)(2021/12/9)

https://www.cnn.co.jp/fringe/35180656.html

米国5-11歳の心筋炎について

2022/1/6のツイートより

これはとても良い情報。 5〜11歳でファイザー製ワクチン投与後に心筋炎を起こしたのは、870万人中12人と極めて少なく、 男子の場合、12〜15歳の1/10以外とのことです。 ワクチンの内容量が1/3のこと、元々心筋炎を起こしやすい年代ではないことなどが原因だと思います。 だから日本でも早く!
知念実希人 小説家・医師

アメリカでのファイザー製COVID-19ワクチン接種後の小児の心筋炎。1/5CDC資料より。 男性に多く、2回目に多い。 870万件接種された5-11歳では、男児の2回目接種において100万件あたり4.3件と他の年代の1/10程度。23万件に1件。 1870万件接種された12-15歳では、男児の2回目で2.2万件に1件。→
Sukuna

12-15歳では2回目の新型コロナワクチン接種後の心筋炎の発生が男児で100万回あたり45.7人でしたが、5-11歳では100万回あたり男児で4.3人、女児で2.0人とのこと 米国予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)資料より https://cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2022-01-05/02-COVID-Su-508.pdf
新潟大学小児科学教室

2021/12/5のツイートより

米国での5-11歳へのファイザー製ワクチン接種は1回目を終えたのが約500万人、2回目を終えたのが100万人弱となりました。今のところ心筋炎の報告はないとのこと。mRNA量を30μgから10μgに減らしたことが影響した可能性が高いと考えられます。
TM_Quencher@FullyVaccinated

10代〜20代の男性に多く見られるmRNAワクチン接種後の心筋炎・心膜炎は、2回目接種後の4日前後をピークとして1週間以内に多く見られます。報告遅れなどを考慮に入れても今後1〜2週間の間に新たな症例の報告がなければ、12歳〜20代で見られたよりは頻度が低いと言えそうです。

2021/12/6のツイートより

これに関しては、もともとワクチンと関係なく、心筋炎は幼児よりも10〜20代の男性に生じやすいこと、 投与されているワクチンの量が1/3と少ないことなどが理由と考えられています。 今後、さらにデータが積み重なり、安全性について判明してくるでしょう。
知念実希人 小説家・医師

心臓病ある人にも接種は推奨される

心臓病ある小児への新型コロナワクチン接種がTVで話題になったよう 心臓病の子が接種でより心筋炎を起こしやすいとの証拠は乏しい 5-11歳の接種後の心筋炎は800万回で11件 一方で心臓病の子は感染で重症化リスク増が指摘、感染での心傷害がより懸念され接種が勧められている 正確な理解に努めたい
大津秀一 緩和ケア医師

その他の関連ツイート

ワクチン接種後の心筋炎は天文学的に低い確率です。(※ブログ主より。「天文学的に」は言いすぎたと次のリプで訂正されてます)「新型コロナにかかるほうが心筋炎になりやすい」という厚労省の資料がありますが、これすらまれです。当院(軽症中等症)のコロナ病棟で臨床的に意義のあるウイルス性心筋炎はまだ1例も診たことがないです。
新型コロナワクチン接種後の心膜炎・心膜炎について(厚労省)
インヴェスドクター氏

さっき息子も(16歳) モデルナ1回目を終えました。 打たせた理由は 心筋炎なら治療方が確立してる新型コロナに罹患する方が 怖いって思ったからです。
バベルロデコ氏

参考にさせていただいたツイート

宮坂先生 「何度も海外のデータを引用して、ワクチン後に見られる心筋炎の頻度は実はきわめて低く、一方、新型コロナに罹患した時の心筋炎の頻度のほうがはるかに高いことを指摘しています。ところがワクチンを怖がる方々はこのデータを正面から見ようとはしてくれません」
https://www.facebook.com/masayuki.miyasaka.9/posts/4254639877992769
BIG_S氏

新型コロナ感染による心筋炎は大まかに言うと 100万人中、6000人から23000人程度が発症 現時点において全年代において接種によるベネフィットがリスクを上回っている (↓ワクチン接種による100万人接種辺りの心筋炎疑い頻度。 ほとんどが軽症)


ミロ氏

「心筋炎に軽症はない」と反ワクチンが、なんの根拠もなくツイートしていますが ・軽症 ・中等症 ・重症 とあり、軽症の急性心筋炎は胸が痛い、何となくだるい、といった症状で終わります。
三上内科クリニック~心筋炎
ミロ氏