主な先進国のワクチン接種率
次のグラフは主な先進国のワクチン接種率ですが、
- ロシアでは政府への不信(国産ワクチンへの不信)により、
- ルーマニアでは政府への不信とワクチンデマの蔓延により、
新型コロナワクチンの接種率が低迷していると言われています。
ロシアの状況
デマの例
ロシアの接種率は3割。感染よりワクチンが怖いからだ。コロナは冗談だ!フィクションだ!
と主張する人がいますが、デマです。
そう、コロ奈は冗談でありフィクションである
https://twitter.com/shiroi_suna_2/status/1450547220105756673
ロシアの被害状況
ロシアは、ワクチン接種率の低迷(現在35%程度)により、感染者数と死者数が過去最多を記録中です。(彼らが主張するような)冗談やフィクションではありません。
ロシアで新型コロナウイルス問題が過去最悪の事態となっている。政府発表によると、16日の1日当たり新規感染者数は3万3208人、死者数は1002人だった。新規感染者が3万人を超すのは14日から3日連続。死者が1千人を突破したのは初めてで、ともに過去最多を記録した。
ロシア政府(18日)新型コロナの1日あたりの新規感染者が3万4325人(過去最多)を記録したと発表
医師のSNS「新型コロナは冗談やフィクションではない2年経っても説得が必要だとは驚きだ」
「感染よりワクチンが怖い」ワクチン接種の完了⇒人口の3割程度
以下はロシアの新型コロナ感染者数のグラフです(New per day)。
以下はロシアの新型コロナ死者数のグラフです(New per day)。
ツイッターの反応
これが国民に新型コロナワクチン忌避が広がった場合に生じることです。 多くの医師がこれを恐れ、この1年必死にワクチンデマを潰してきました。 そんな必要なかったと思う方もいると思いますが、 タミフルとHPVワクチンに起きたことを目の当たりにしているだけに、そう楽観的にはなれませんでした。
死者数は22万人ではなく75万人?
現在、ロシアの新型コロナ死者数は22万1千314人と報告されていますが、実は75万人近くにのぼるのではないかという報道もあります。
ロシア当局が新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)死亡者など統計を操作しているという外信報道が出てきた。
17日(現地時間)、米紙ワシントン・ポスト(WP)は「当局がコロナ関連統計を操作している」とし「ロシアのコロナ状況は実際はもっと深刻だ」と明らかにした。
WPによると、ロシアの公式統計で10月中旬までのコロナ関連死亡者は22万1313人だった。しかし人口学者のアレクセイ・ラクシャ氏は「超過死亡者(excess mortality)」を75万人と推定し、モスクワタイムズも約66万人と報じた。超過死亡者は普段の死亡平均値を越える数字で、分析家が信頼できると考えている指標だとWPは説明した。
もしもこれが事実だとすれば、アメリカの死者数72万8千196人(10/20時点)を超える死者数ということになります。
ルーマニアの状況
デマの例
ルーマニアの感染者数が少ないのは誰もワクチンを打たないからだ!
と主張する人がいますが、デマです。
『理由は「誰も打たないから」』正解です ルーマニア政府がワクチン接種政策を完全に停止。理由は「誰も打たないから」。そして現状まで感染拡大はほとんどなし
上記ツイートで示されているグラフは「新たなワクチン接種数の推移」であることに注意してください。通常はグラフが右肩上がりの「ワクチン接種率」のグラフを使うことが多いのですが…。
さらに大事なことは、これは「100人あたりの」新たなワクチン接種数のグラフです。「100人あたりの」という説明が抜けています。
ちなみに10/21現在のグラフはこうなっています。
ルーマニアの被害状況
下図はルーマニアの感染者数とワクチン接種率のグラフです。接種率は現在34%程度です。
上記ツイートで示されているグラフとまったくイメージが違って見えるのではないでしょうか。
ルーマニアでは、もともと、ワクチン接種が始まる前から感染者が多い状態でした。そこから接種率が上がるにつれて、一時、感染者数が少なくなりましたが(ワクチンのおかげかどうかは不明)、接種率の伸びが25%を過ぎて低迷したあたりから感染者が爆発的に増えてしまいました(デルタ株の影響でしょうか)。
実は、100万人あたりの数値で言うと、ルーマニアはロシアよりもずっと深刻な状況であることが分かります。
AFPBBはルーマニアの被害状況について次のように報じています。
現在「破滅的な」流行の第4波に見舞われており、死者が急増している。
複数の病院では、救急車が列を成し病床に空きが出るのを待っている。多くの場合、集中治療室(ICU)に空きが出るのは、患者が亡くなった時だけだ。
人口約1900万人の同国の1日当たりの新規感染者は7日、1万4457人に上った。また、8日公表の統計によると、1日当たりの死者数は385人と、新型コロナの流行開始以来最多となった。
同国のワクチン接種プログラムの代表バレリウ・ゲオルギタ(Valeriu Gheorghita)氏は(中略)「われわれは既にイタリアと同じ道を歩んでいると懸念している」と述べた。
医療機関は「不急の」手術と入院患者の受け入れ延期を要請されている。
ワクチン接種進まぬルーマニア、コロナ死者急増(AFPBB)(2021/10/12)
こちらの動画(10/12アップロード)はルーマニアのジャーナリストによって撮影された首都ブカレストの病院の様子です。
接種率低迷の理由は政府不信とデマの蔓延
ルーマニアでワクチン接種率が低迷した理由は
- 政府に対する不信
- ワクチンデマが拡散した
- 国民の多くが農村に住んでいるため接種を受けにくい
と言われています。
ロイターはルーマニアの決定について数回にわたって報道し「ルーマニア国民の政府機関に対する不信、ワクチンについての誤った情報の拡散などのため、ワクチン拒否現象が広がった結果、供給が需要をはるかに上回っているため」と分析した。「ポリティコ」は5月26日の報道で、国家的にもワクチンの受容度が低いことに加え、人口のかなりの数が農村部に住んでいるため、ワクチンへのアクセスが容易でないことも低い接種率の原因として挙げた。ルーマニアは先月初め、6月30日で有効期限が切れたワクチンおよそ4万3000回分がまだ使用可能なのかをアストラゼネカ社に問い合わせてもいる。
「ワクチン持って行って」…接種率「EU最下位圏」のルーマニアに一体何が(2021/8/24)
ルーマニアは欧州連合(EU)最貧国の一つで、ワクチン接種も進んでいない。現在「破滅的な」流行の第4波に見舞われており、死者が急増している。
救急車が列を成し病床に空きが出るのを待っている。多くの場合、集中治療室(ICU)に空きが出るのは、患者が亡くなった時だけだ。
社会学者らはワクチン接種率が低いことについて、ソーシャルメディアで拡散されている陰謀論に加え、市民の政治不信が背景にあると指摘している。
ワクチン接種進まぬルーマニア、コロナ死者急増(AFPBB)(2021/10/12)
ルーマニアのその他の記事
COVID deaths in Romania rise to record high | DW News(2021/10/20)
Romania has one of the lowest Covid vaccination rates in the EU – only a third of adults are fully vaccinated. The president has described the situation as “catastrophic”. And in rural areas, vaccine hesitancy is strong – particularly in the southern town of Gaesti. DW correspondent Fanny Facsar paid a visit – to an area where hospitals are overwhelmed and understaffed.
https://www.youtube.com/watch?v=Ab650E–lFg
Covid: Romania’s health system torn apart by pandemic-BBC(2021/10/23)
https://www.bbc.com/news/world-europe-58992090
デマ対策の強化を
ロシアやルーマニアの被害状況は、悪質なデマの拡散などにより新型ワクチンへの忌避が広がると、大変なことになるという現実を示しています。
国や、SNSなどを提供する企業は、悪質なデマ対策にもっと力を入れてほしいと思います。